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【書評】放課後はミステリーとともに 東川篤哉【小説#1】

 書評……とかしこまった言い方が適切かは微妙なところです。本の紹介文って感じでしょうか。なるべく短く、五分で読めるようになっています。

 

 それで今回は東川篤哉著『放課後はミステリーとともに』(株式会社実業之日本社)を紹介したいと思います。2012年にはテレビドラマ化されているので、ご存知の方も多いかもしれませんね。

 

 ここから『放課後はミステリーとともに』の魅力を語ろうと思うのですが、この本はミステリー小説です。ですから、もちろんネタバレはないように書きますが、少しでも「読んでみたい」と思った方はここで本屋さんにGOです。悩むな! 今行け!

 

 さて本題に入るのですが、ここではテーマを絞って話したいと思います。なるべくネタバレを防止するために話を絞るのです。

 ということでこの記事では著者が書く「文章そのもの」の魅力を追っていきたいと思います。

 

 『放課後はミステリーとともに』を含め恋ヶ窪学園探偵部シリーズ、『謎解きはディナーのあとで』シリーズ、烏賊川市シリーズなど東川作品は「ユーモアミステリ」と呼ばれるジャンルに属します。簡単にいうと「面白く読みやすいミステリー」といえるでしょう。この読みやすさ故に私はよくこの本を紹介します。普段ミステリーを読まない人でも楽しめるだろうからです。

 

 しかし、「面白く読みやすい」はミステリーとしての読みごたえと相反するか、と言えばそうではありません。むしろこの読みやすさによって作品に没入させられ、気付くと本格派のトリックに驚かされるのです。それはもう、スコンと足元を払われるように。

 とりわけ収録されている全八編のうちの第一篇「霧ヶ峰涼の屈辱」はあまり秀逸なトリックで、初読の時には、謎解き(種明かし)されても自分がトリックにかかっていることが理解できませんでした。頭に戻って読み直し、種明かしの戻ってきて「あぁあああ!」と脱帽しました。これ以上はネタバレになるから話せませんが。くぅ。

 とにかく「ユーモアミステリ」の面白く読みやすい読みごたえを楽しんでいると、強烈なトリックに鮮やかに引っかかる。この一連の流れがとにかく病みつきになるのです。

 

 と、粗削りですがトリックに触れなように書くにはこの辺にしておくべきでしょうか。本当は主人公「霧ヶ峰涼」の魅力についても語りたいのですが……。

 

 『放課後はミステリーとともに』は初版が2011年で、「なんで今さら書評?」と思われた方もいるかもしれません。それは本を紹介する記事を書こうと思ったときに、本棚にこの本があったから。お気に入りの一冊だから。と理由はいくつか上げられますが、何よりの理由はこの本の、トリックの鮮やかさ秀逸さは何年たっても色あせない傑作だからです。

 興味を持った方はぜひお読みください。